製造不良?サイドカット?その原因は・・・

アマゾン店担当者です。

ディスクブレーキ化が進んでいるものの、まだまだリムブレーキも健在なロードバイク業界(私もリムブレーキですし)。ディスクブレーキの割合は増えていくのでしょうが、既に流通しているリムブレーキモデルは多く存在するわけで、遅ればせながら書いておこうと思いました。

稀によくあるという矛盾した表現を使いますが、一年に数回はあるお問合せとして、「まだ購入してさほど経過していないがサイドカットしている、これは不良品だ」というものがあります。このお問い合わせをいただいた時点で「ああ、あのケースだろうな」と思い、画像や実物を拝見して「やっぱりな」という流れになることが殆どです。

これはその一例ですが、カットしている箇所の延長線上にもチェーファー付近が割れているのがお分かりいただけるでしょう。

これは別の事例で、お客様へご案内差し上げるにあたりこちらで少し説明を加えたものとなります。ダメージの無いサイド(画面上部の左サイド)に対し、ダメージの有るサイド(画面下部の右サイド)はバースト箇所の延長線上にも削れた痕からケーシングが見えているのがお分かりいただけると思います。

これは同じタイヤです。バースト箇所以外、裏側には何も傷がありません。

さてこの原因が何かという話ですが、間違いなくブレーキパッドです。ブレーキング時にタイヤがわずかに干渉することによってタイヤの骨格となるケーシングが切れてしまい、タイヤの空気圧に耐えられなくなったところがバーストに至る、要は整備不良です。

いやいや、組付け時には干渉してなかったと皆様仰るわけですが、静止時にブレーキレバー握ってブレーキパッドが僅かにでもタイヤに干渉していたらそもそも問題外なので当たり前です。パッドが干渉した状態が続くと削れてしまい、程なくしてタイヤは寿命を迎えます。これはタイヤが新しかろうが関係ありません。自転車のタイヤは自動車やモーターバイクのタイヤと比較すると極めて薄いものであり、仮にもう少し厚かったとしてもブレーキングのたびに削られるのであれば五十歩百歩程度の差しかありません。

モデルによって多少の差異はありますが、タイヤサイドなんてこの程度の厚みです(約1mm)。一般的なロードタイヤであれば接地する箇所となるトレッドの厚みですら3-4mm程度しかありません。このモデルはタイヤウェアインジケーターやスリップサインと呼ばれる交換時期目安を表す溝がついているモデルなのでその個所を切ってみたところ、スリップサインの溝は約1.5mm程度でした。上記画像はコンチネンタルのウルトラスポーツ3というモデルです。これは重量の為に耐久性を犠牲にしたようなレース用タイヤなどではなく、ロード用タイヤとして至極一般的なモデルです。

何の負荷のかかっていない状態で問題は無くとも走行時はライダーの体重やGでフレームもフロントフォークもホイールも撓みますので、それを見越した上でリムブレーキのパッド位置はブレーキシュー上端がリム上端より概ね2mm程度下で固定する(カーボンなら3mm程度)が適切と言われているわけです。ブレーキゾーンの幅によっては物理的に無理な場合もありますが、その場合は仕方ないのでチェックの頻度を増やして下さい。

一例としてロード用タイヤを挙げましたが、リムにブレーキパッドを押し当てることによって速度を調節するタイプブレーキであればどんな車種であっても、それこそ一般車であっても同じことが起こりえます。一般車であれば一部例外を除きフロントのみで起こりうる症状ですね。新車整備時にまともに整備されていないか、前輪を前側からぶつけるなどでフロントフォークがフレーム側へ少し曲がったりすると発生する症状です(前方からの衝撃でフロントフォークは進行方向と逆側に曲がる→つまりフロントフォークが立つような状態になる→ブレーキの位置はそのままだが車軸が下がる→ブレーキパッドはリムのブレーキゾーンではなくタイヤに干渉するようになる・・・という症状です)。

ロードバイクはチューブレスレディであったりタイヤが太くなったりというトレンドで以前よりはタイヤの空気圧が低くなってきているとはいえ4気圧以上、一般の自転車であっても概ね3気圧くらいの圧がかかっています。もし初めからタイヤサイドが削れているような状態の製品なのであれば、そもそもその内圧に耐えられません。適正適正空気圧に達する前にタイヤが裂けてチューブが破裂して終わりです。

まだ新しいタイヤなのに・・・というお気持ちは重々理解できます。円安が進む昨今、様々なものが大幅な値上がりとなり、それはタイヤもまた然りです。製品の品質保証の対象となるか否かはメーカーやそれに準ずる立ち位置となる代理店の判断となるわけですが、その不具合の状態が製造に起因するものでないのであれば当然品質保証の対象となりません。この記事のパターンの損傷であれば、代理店へ判断を委ねるまでもなく、整備不良と断定します。もしどこかのショップでお取り付けされたのであれば別ですが、ご自身でお取り付けされたのであれば諦めて下さい。それでも代理店の判断に委ねたいとのことであればお預かりして代理店へ送ることも承りますが、過去の経験上100%の確率で配送料をご負担いただくだけとなります故、お止めになった方が良いです。

自転車は屋外でのご利用が大半なので、どうしても避けられないトラブルに遭遇することがあります。どれだけタイヤが新しかろうがガラス片や釘が刺さればパンクもしますし、実際に私も1kmにも満たない距離で突き刺しパンクしたことがあります。それはやむをえないことですが、この度のケースではご自身で防げる破損です。

今回はタイヤを例に挙げましたが、品質保証の対象となるか否かはその製品の状態が語るところからしか判断されません。「まだ購入したばかりなのに納得できない」ではなく、次は同じような状況に陥らないように気を付けようという心構えになっていただければ幸甚です。