またどこかでお会いするかもしれませんね

アマゾン店担当者です。

出会いもあれば別れもあるわけですが、2024年から現在にかけては明らかに別れの方が多く、特に11月頃からはその回数が加速しています。その別れにもいくつかの種類がありますが、最も多いのはお取引先で担当していただいていた方や知っている方が退職されるというものです。中には定年であったり家庭のご事情による転居に依るものというケースもありましたが、このままでは先行きが怪しく希望を見い出せないので輪業から離れるというのが多く、同業者として寂しく感じることばかりです。

その中でつい先日(この記事は2025年3月頃に書いていたのですが、なかなか時間がとれずに今になりました)に最後の業務を終えたライトウェイプロダクツジャパンの弊社担当者さんに感謝の気持ちを込めて、滋賀のクラフトビールを贈りました。

贈ることにしたのは隣町となる蒲生郡日野町にあるHino Brewingというクラフトビール。江戸時代から続いているという酒屋さん「酢屋忠本店」さんで販売されています。グーグルマップで見ると距離にして約10km程度、そりゃ自動車で買いに行くのが最も手っ取り早いわけですが、何だか味気ない。そもそも自転車を通じてのご縁であり、自転車を生業としている身なわけでということで、近江鉄道+輪行という方法を使ってみました。

今回使ったのはここ最近はあまり乗っていなかったDAHON K3。コンパクト且つ軽量なモデルなので持ち運びはしやすいですし、その割にはそこそこ走ってくれるフォールディングバイク。発売されてから大きな変更もなく継続販売されているのも納得のモデルです。

水口駅から日野駅まで向かいます。たったの2駅ですが、これで310円か・・・高ぇ。東京なら310円あれば相当の駅数を跨いで乗れそうですし、大阪でも高槻から梅田まで乗ってもJR、阪急いずれにしてもお釣りきます。しかも多くても1時間に1本しかないという本数の少なさも相まって利用者が少ないのかもしれません。でも近江鉄道には一部例外を除き自転車をそのまま持ち込めるっていう自転車ユーザーには素晴らしい利点があります。

とは知りつつもK3は折りたたむのもさほど手間でもないので折り畳んで輪行で移動し日野駅に到着。「あの曲がり角の先を見てみたいという微妙な距離も、ひと漕き二漕ぎで到達できる機動力は冒険的な旅が加速する気がする」というのは以前ご縁のあった東京都のY様からいただいたお言葉なのですが、普段気に留めていなかったところでも自転車の速度域だとふとした気づきがあったり、立ち止まってじっくりみたり寄り道をしてみたりと色々と融通が利いたりします。そりゃ例えば自分一人だけで行くわけじゃなかったり体調が良くない状態だったり天候が悪かったりといった時にはより楽な手段を使いたくもなるでしょう。でも不便を愉しむってのも悪くないものです。それに僅かとはいえ地元企業に貢献してるということや、環境への負荷も自動車よりは少ないはずと思うと悪い気はしません。

K3を乗車状態に戻して出発。バックパックはカンパニョーロの防水バッグです。これはまた今後も登場する予定ですが、自転車で買い物に行くときによく使っています。防水仕様ってのもポイントですが、ロールクロージャ―タイプなので上を閉じなければネギを折らずに突っ込んどけるってのが良いですね。

「ヤレヤレ ドントヤレ」ってのは祭りの神輿を担ぐときの掛け声だそうで。Hino Brewing クラフトビールの名前はここから拝命してるとのこと。

地元に住まれている方にとってはなんて事のない風景も、そうでない者からすると非日常。一度は社内の仲間と走ったことがあるような記憶もある道ではありますが、殆ど覚えていないので新鮮ですし、一人で走るのはまた違った印象も受けます。日野商人街道には古き良き昭和の遺産を思い出させる趣のある駄菓子屋さん(後で調べたら結構有名でした)、大正浪漫溢れる雰囲気のある建物(写真館と書いてあったものの今はカフェにリノベーションされているっぽい?)など心惹かれるものがいくつもありました。しかしかつては何かしらのお店を営んでおられたものの残るのは店構えや看板のみといった建物が多く、諸行無常の響きありと申しましょうか、その時代をこの町で過ごされた方の暮らしに想いを馳せながらK3を漕ぐ。シャディのサラダ館て子供の頃CM流れてたな、懐かしい。

駅からせいぜい3km程度でしたが、道中を幾度か脱線していたので結構時間がかかってしまった。酢屋忠さんに到着。贈り物を選びつつ自分用にも少し購入。因みに毎週金・土曜日が営業と書いてあったのでえらくスポットが狭いなと思っていましたが、店内でビールの量り売りをしているのが金・土曜日ということで、それ以外の日も営業はしてるよとのことでした。その場で量り売りのビールを飲むことも考えましたが、1時間に1本しかない電車を逃すわけにもいかないので諦めました。でも、1本ずらせば飲んでいくことも選択肢としてある、というのも自転車の利点と言えます。自動車なら押して帰れませんが、自転車なら押して帰ることができるのですから。

道中、やけにひな人形が飾ってあるなと感じましたが、日野ひなまつり紀行というものが行われていたようで。これも車で走ってれば気づかないだろうなという箇所がいくつもありました。

日野駅に到着。2019年頃に立て直しが行われたようだが、旧駅舎を知らない人間からするとノスタルジーを感じるには十分な駅だなと。駅には日野駅鉄道ミュージアムが隣接していて、日野駅の歴史や鉄道に関する器具が展示されていました。

敢えて不便を愉しんだ帰り道は、決して悪くない充実感を覚えていました。

水口駅に到着。往路ではいませんでしたが、復路では自転車をそのまま車輛に乗せている乗客が4名いました。今度は僕もグラベルバイクとかそのまま持ち込んでみようかな。

水口駅に戻り、ついでに近くのスーパーへ。駅から歩けば10分程要するであろうスーパーも、自転車ならば苦になりません。しかしここだけに限ったことではありませんが、付近のスーパーの駐輪場に停まっている自転車はとても少ない。このあたりは公共交通機関も便利とは言えないですし、荷物の量が多い、お子様など他の同乗者がいる、体力的にきつい、天候が悪いといった様々な事情があるのかもしれません。でも、自転車でも行けるよって方もそこそこいらっしゃるのではないかと思います。そのような方は天候が良くて適温であれば、少し趣向を変えて自転車を使ってみるってのはいかがでしょうか?良い運動にもなるでしょうし、前述の通り環境にとっても自動車より優しいはずですから、少しは環境維持に貢献しているという気もします。

左から今回の主役のYさん、真ん中は前々担当のKさん、右は現担当のTさん。今となっては現担当以外は退職され、仕事としてお会いすることはありません。とても残念ですが、人間関係が終わったわけではありません。この時点で既に輪界にはいらっしゃらなかったにも関わらず参加していただいたKさん、ありがとうございました。

自分用にも購入して味わう。悲しいことがあってもビールは変わらず美味しい。Hino Brewingでは定番以外にちょいちょい限定で新作が出るので、気になる方は是非ともご賞味下さい。

これはどこかの期間限定だったストロベリーのビール。確かにイチゴの風味はありました。このキマったヤバイ目をしているキャラクターは「ヒノシシ」というらしいです。日野とイノシシをかけているのでしょう。この脱力感が好きで、ついグラスも合わせて買ってしまいました。今度YAWYD STEM CAPでヒノシシ王冠付けよう。

自動車は確かに便利ですが、本当に必要かという距離にも使ったりしていないでしょうか?ご事情やシチュエーションにも依りますが、自転車ってのも案外悪くないもんですよ。